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或る日、五祖弘忍大師は門弟全員に『皆んな集まれ、ワシは何時もお前等に、人生に於て生死の問題は極めて重大であり、輪廻転生を如何に超脱するかが最大事であると説いて聞かせてきたじゃないか。お前等は一日中諸佛祖師方等に供養をしているが、只だ聖者になりたいと願うばかりで、生死の苦海を出離しようとしないではないか。若し自性が迷ってしまえば、福はどうして求められようぞ。お前等皆んなは、後ろの庭へ行って真実の自己をよく見てみよ。真実の自己を働かせて真実の自己である般若の性に触れて、各自一篇の詩を作ってワシに提出せよ。若し真実の自己を悟った者が居れば、その者に祖師伝来の袈裟を授けて、ワシの次の第六代の祖師としよう。急いで行け、グズグズするな。思量分別・知解情量して作ったなら計較情塵となって、真実の自己の詩ではなくなるから何の役にも立たないぞ。見性した程の人なら、ワシの話を聞いている今、気が付かなければならないのじゃ。若しそういう人なら刃交わる戦場に於ても、チャンと真実の自己に生きられる筈じゃ』と命令されたのである。
□ 生死事大=生死の問題は極めて重大であり、輪廻転生を如何にして超越するかが最大事であるということ
□ 輪廻転生=車輪がグルグル廻るように六道の迷いの世界を生死して止まらないこと
□ 六道=地獄・餓鬼・動物・阿修羅・人間・天上の世界
□ 苦海=三界:欲界・色界・無色界。是れを世間という
□ 供養=佛法僧・父母・亡者等に御供えして回向すること
□ 般若=prajuna・panna。煩悩・生死を除いた智慧。六波羅蜜の一つとして、諸佛の母と讃歎され佛果を得る為の最も重大な要素とされる
□ 六波羅蜜=布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧
□ 性=本質・本体。⇔相 相=ものの姿・特質・体質・特徴・現象等々
□ 偈=自己の境界を詠じた詩
□ 境界=修行して到達した心の状態
□ 大意=根本精神
□ 衣法=伝法の標の袈裟
□ 輪刀上陣=刀を車輪のように振り廻して敵軍中を行く戦術
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