[九] 法幢ほうどう
 
 法幢ほうどうを建て宗旨を立す <旗を立てて大法宣布>
 明明たる佛勅曹谿是そうけいこれなり <佛の勅使の曹谿そうけい大師>
 第一に迦葉首かしょうはじめて燈を伝え <釋迦から迦葉かしょうに法が伝わり>
 二十八代西天に記す <二十八代インドで栄え>
 紅海をて此の土に入る <海路遙々中国に到り>
 菩提達摩が初祖と爲る <中国初代は達摩大師>
 六代伝衣でんえ天下に聞こゆ <六代の諸祖天下に名高く>
 後人の得道数窮かずかぎり無し <後を嗣ぐ者大勢大勢>
 眞を立せず妄と空 <眞無く妄無い宗旨故>
 有無倶りて空も不空 <有無倶に捨て空も無く>
 二十の空門もともと不著 二十空にじっくうにもだまされず>
 一性いっしょう如来体共に同じ <一念一念如来のはたらき
 心は是根これこん法は是塵これじん <心は六根ろっこん物は六塵ろくじん
 両種猶を鏡上のあとの如し <心も物も鏡のけがれ
 痕垢尽除ほこりのぞいて光始めて現ず <埃を除けば鏡が光る>
 心法ならび亡じて性即眞 心物しんぶつ尽くせば性即眞しょうそくしんなり >
 ああ、末法悪時の世 <今は末法悪い時代じゃ>
 衆生福薄く調制し難し <乱れるばかりで制御せず>
 聖を遠く去り邪見深し <釋尊離れた邪見根深く>
 魔強く法弱く怨害多し <強魔弱法怨害多し>
 如来の頓教門を聞説きき <如来の悟りの教えを聞いて>
 滅除瓦砕せしめずを恨む <排斥出来ずにくやしがる>
 作は心に在り殃は身に在り 正法しょうぼう誹謗のむくいがあるぞ>
 怨訴おんそ更に人をとがむるをもちいず <咎めるまでもないことじゃ>
 無間業むげんごうを招かざらんと欲得ほっせ <地獄の責め苦がイヤならば>
 如来の正法輪を謗ずる莫れ 正法輪しょうぼうりんの邪魔するな>
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