証 道 歌

[十二]解脱力

 上思議解脱力 <思議するナ! 解脱の力を>
 此れ即吾の善知識と成る <解脱の力は私の師匠>
 四事しじの供養敢て労を辞せず <どんな供養も苦しうない >
 万両の黄金亦た銷得しょうとく <大金使うも惜しうない>
 粉骨砕身未だ酬いるに足らず <粉骨砕身も酬い足らず >
 一句了然百億を超ゆ <一句徹底百億子分>
 法中の王最も高勝 嫡嫡相承てきてきそうじょう法中の王>
 恒沙ごうしゃ如来同じく共に証す <無数の諸佛が証明している >
 我今此の如意珠を解く 如意にょいの寶珠を施すぞ>
 之を受信する者皆な相応 <ピッタリ合えば解脱の人じゃ>
 了了として見る無一物 <ハッキリと見えるぞ無一物>
 亦た人無く亦た佛無し <人も無ければ佛も無いし>
 大千世界は海中のあわ <世界も宇宙も海の泡>
 一切聖賢電払でんほつの如し <聖者も賢者も消え失せる>
 仮使たとい鉄輪頂上にめぐるも 鉄の火玉ひだま頭を廻るも >
 定慧じょうえ円明ついに失せず <解脱の力は全く無事じゃ>
 日冷れいたる可く月あつかる可くも <太陽冷えて月燃えだすも>
 衆魔真説壊す能わず <悪魔は解脱の説法壊せず>
 象駕崢偬ぞうがそうこうとしてまんに途を進む <象引く車はユッタリ進む>
 誰か見る虧羇とうろうてつを拒むを 虧羇かまきり如きが邪魔出来ない>
 大象は兎径とけいに遊ばず <大象は小道を歩まない>
 大悟は小節に拘わらず <解脱は小事に拘わらない>
 管見を將て蒼蒼を謗ずる莫れ <細い孔から大空見るな>
 未了の君の為に吾今決せん <未了の君でも成佛出来るぞ>